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FEATURE特集

みんなが集まる3つのホール[邑楽町中央公民館]

多目的の「木のホール」、
青空天井の「空のホール」、
芝生に寝ころぶ「緑のホール」が
これからの町民のよりどころ

旧来の公民館が築40年を超え老朽化していたことと、地域振興のためのコミュニティの核となる「みんなが集まれる場所」を再整備すべく、新たな公民館を計画しました。

ぜひ訪れていただきたいのが3つのホール。

「木のホール」は木肌が優しい屋内ホール。全面平土間の多目的ホールです。一部昇降床を下げることでその奥にステージが現われ、可動観客席を階段状に配置すれば、劇場仕様になります。一方壁も可動式で、全開すると隣の「空のホール」と一体化したオープンスペースに切替え可能です。

「空のホール」は青空天井。ロの字に囲まれた屋外スペースです。ホール周囲の建物も観覧エリア。公民館の活動室から、会議室から、廊下から、ブリッジから、どこからでも見下ろせる広場です。

空のホールを背に、ピロティをくぐると向こうは「緑のホール」。全面芝生のフィールドは、公園であり、前庭であり、野外ステージでもある屋外フィールド。

屋内から屋外へ連続する3つのホールは、使い方次第でさまざまな「集まる」シーンを生み出せる、可能性にあふれたパブリックスペースなのです。

  • 木のホール

    木のホール

  • 空のホール

    空のホール

  • 空のホールから奥に緑のホールを望む

    空のホールから奥に緑のホールを望む

  • 外観(左手)

    外観(左手)

  • 木のホール
  • 空のホール
  • 空のホールから奥に緑のホールを望む
  • 外観(左手)

新しい公民館づくり

旧邑楽町公民館が竣工したのは1973年。それから40年を経過して、大規模改修、耐震補強、あるいは建替えを検討する時期が訪れました。2013年中央公民館建設基本構想が立てられます。邑楽町は周辺群馬エリア同様、比較的舞台芸能の盛んな地域で、文化振興を図りたい。邑楽町にはこれまで劇場ホールがありませんでした。なによりまちづくりを振興するコミュニティの核となる場所、町民が集まれる大きな場所をつくりたい。そうした考えから邑楽町中央公民館の建設が計画されました。

実はホールを備えた中央公民館整備は、1987年から構想されてきた歴史があります。2000年代に入り新庁舎建設時にも、ともに設計コンペが実施されましたが見送られました。学校の耐震補強など優先課題が存在したのです。町民の積年の願いがようやく叶い、2012年建設検討委員会が発足してプロジェクトが始動します。2014年指名コンペが実施され、日総建が設計に参画することになります。コンペ設計案の各社プレゼンテーションは旧公民館に掲示され、一般町民の模擬投票が実施されました。ヒアリングは一般公開され、設計者選定の段階から町民に開かれたプロジェクトです。

新しい公民館づくり

外とも繋がる多目的ホール

これまで町に無かった劇場は公民館最大の要件です。音楽、演劇イベントに使用できるホールですが、特別なイベントが無い時期には、一般町民がさまざまな活動に使える屋内スペースとして、平土間としても利用できる多目的ホールが求められました。そこで観客席を稼働にするだけでなく、ステージと客席エリアを同じレベルに揃えました。床・壁・天井を木で仕上げた「木のホール」です。ステージが必要なときには、客席との間に設置した昇降床を700ミリほど下げることで奥に舞台エリアを出現させます。ステージ上部に吊物設備を備えていますが、客席頭上に4本渡された渡り廊下、つまりキャットウォークがこのホールのユニークなところ。平土間仕様時など、その全域の天井に照明や吊物などを設置できて、使い方の可能性を広げます。さらにホール上手側の壁は一列全面開放が可能。隣接する中庭、屋外の「空のホール」とひと繋がりになって場を拡張します。

外とも繋がる多目的ホール

みんなが集まる場所づくり

町民の文化活動、学習活動、そしてまちづくりの拠点となるこの公民館全般に通底した考えが「みんなが集まれる場所づくり」。そこで特に提案したのが外部の広場、「空のホール」と「緑のホール」です。邑楽はイベントが盛んな町。なかでも「邑楽祭り」「邑楽文化祭」は1年で最も盛り上がるメインイベントで、中央公民館はその会場としても期待が高まっていました。いまや2つの広場は祭りの中心地です。屋内多目的ホールも、それだけで孤立はさせません。壁を開けば、隣の空のホールと繋がります。空のホールはブリッジを介して緑のホールと繋がります。空のホールが隣接するピロティやブリッジは、雨や日差しを遮ります。屋外はセキュリティ外の自由に立ち入れるオープンエリアで、閉館時間以外でも、ダンスの練習などに使う人が見られます。屋内から屋外まで、さまざまなスペースを連結することで、ふらっと立ち寄れる、町民に親しまれる施設が実現しました。

みんなが集まる場所づくり

町民の想いがつまった公民館

設計者選定プロポーザルから町民参加が図られていました。町民、役場のみなさんの想いがつまった施設です。地元のモチベーションが高く、設計案にもさまざまな意見をいただきながら、デザインを醸成させてきました。プロポーザル案から、基本設計にかけての配置計画が大きく変更されたのも、その現れです。プロポーザル案ではメイン会場を西に向けていましたが、この土地特有の強い北西風を受けることがわかりました。また北隣の図書館との行き来をもっと高めるために動線を変更。そのため木のホールの位置を90度回転させました。

ユニークなのは現場ワークショップでした。施工中に一般見学者が工事エリアの一部に立ち入ることができて、これから建設されてゆく実際の姿を、目の前で体感できるのです。更地に水糸を張って、この先立ち上がる建築を想像したり、簡易なVRとともに体感して、採用したホールの椅子に座ったり。これは公共施設を自分たちのものとして受け入れていただくための最初のステップでした。最大500シートになるホールの運営は、指定管理者を置かず、町が新組織を立ち上げた直営となります。他人に任せず役場も自らが関わってゆく、まさに「みんなのための場所」が実現しました。

町民の想いがつまった公民館

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